2006年10月19日 (木)

夜のピクニック/恩田陸/新潮社

すごーく久々に本の話を。

とある高校で修学旅行の代わりに歩行祭という一昼夜かけて80キロ歩く行事。

その歩行祭の間の登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれた作品。

主人公の貴子は最後の歩行祭である「賭け」をする。そこに杏奈の「おまじない」が絡んできたり。話の筋としてはとても単純なのに、本当によくできた青春もの。

読み終えたあと、誰もが高校時代を懐かしく思い出すこと間違いなしの一冊。

もしこの本を中学校のときに読んでいたら、歩行祭のある高校に行きたいと思っていたはず。(もちろん共学で!)

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2006年7月14日 (金)

東京タワー/リリーフランキー/扶桑社

ひさびさに本の感想を。

いわずもがなのベストセラー。

リリーさんの自伝的小説でした。

正直言ってあまり期待せずに読み始めたけれど、最後までするする読めてしまいました。

決して上手い小説というわけではなく、誠実に、丁寧に書かれた文章だなという印象。

この「オカン」もすごいけれど、改めて「お母さん」てすごい存在なんだなと思い知らされた。

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2006年6月21日 (水)

中国行きのスロウ・ボートRMX/古川日出男/メディアファクトリー

久々に本の話を。

『中国行きのスロウ・ボート』と言えばもちろん村上春樹の作品ですが、これはRMX、つまりリミックスバージョン。

オリジナルのほうは主人公が幾人かの中国人と出会い、別れ、「ここは僕のための場所でもないんだ」と自覚する。

「ここ」が東京なのか、東京に象徴される日本なのか、あるいは中国に対比する日本なのかははっきりしていない。(と私は思うんですけど、どうなんでしょう?)

対してRMXは最初に書かれているとおり「出トウキョウ記」の失敗の記録。

そしてオリジナルとはまったくの別物です。タイトルと目次といくつかの文章は同じではあるけれど。

これはあくまで古川日出男の作品でした。怒涛のような疾走感が良かった。

そういえば三島由紀夫賞、おめでとうございました。

自分の好きな作家が賞をもらうと妙にうれしい。

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2006年6月 9日 (金)

gift/古川日出男/集英社

19編からなる短編集。

少しだけ現実世界からは位相がずれた話が多く、不思議な読後感。

「ラブ1からラブ3」「夏が、空に、泳いで」「鳥男の恐怖」「アルパカ計画」「アンケート」「生春巻占い」などが好きです。

ページ数にして2~10ページぐらいの本当に短い話ばかりで、古川日出男は初めてという人も入りやすいのでは?

もっとどっぷり小説世界に浸りたい方には、同作者の『アラビアの夜の種族』、『ベルカ、吠えないのか?』がおすすめです。

ひきずりこまれます。

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2006年6月 6日 (火)

にょっ記/穂村弘/文藝春秋

4月1日から3月31日までの一年間のウソとも本当ともつかない日記。

川上弘美の『東京日記』とか『椰子・椰子』にもちょっと通じるものがある。

ただ、こちらは一日の文章量が短いです。やっぱり歌人だから?

でも短いなかに思いがけない視点・行き先不明の妄想があって面白い。

そして言葉に対する鋭さ・敏感さがある。

やっぱり歌人だから??

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2006年6月 5日 (月)

国家の品格/藤原正彦/新潮新書

仕事上、学生や子供にかかわる時間が多い(でも教師じゃないですよ)。

この十年近く、学生の質が随分と落ちたなと実感として思っていた。

もちろん全員ではない。でも人数として、もはや見過ごせない数がレベルダウンしている。

学力はもちろん、道徳・常識・マナーなど人として基本的かつ重要な部分が特に。

その原因について同僚と話をしたり、あれこれと考えたりしていたけれど、どれも漠然としたものだった。

その漠然と考えていたことが(すべてではないにしろ)この本に書かれていて、思わずそうそう!そういうことだったんだと納得。

ここに書かれたことを実行できたら、結果が出るまでに時間はかかるかも知れないけれど、日本の見通しも明るくなるんじゃないかと思う。

老若男女に読んで欲しい本。

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2006年5月29日 (月)

みずうみ/よしもとばなな/フォイル

少しだけ一般的でない家庭に育ったちひろ。

過去に何かしらの大きな出来事があって、人間に対してひどく臆病なところがある中島くん。

中島くんの過去にかかわりがあるらしい、みずうみの近くに住む兄妹、ミノくんとチイ。

色々なものを喪失した彼らをめぐる、「出発点」までの物語。

始めは単純に、ちひろと中島くんのちょっと変化球な恋愛小説かと思ったけれど、読み進むうちに別の主題が見えてくる。

うまく言えないけれど登場人物それぞれが、人間の根本にある強さや優しさでどうにか生きている感じ。そこがせつない。

でもそのせつない部分になぜか勇気づけられる話でもあった。

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2006年5月23日 (火)

もし僕らのことばがウイスキーであったなら/村上春樹/平凡社

村上春樹のスコットランド(主にアイラ島)とアイルランド紀行。

タイトルにもあるとおり、ウイスキーの話題がメイン。

写真も豊富できれいだなと思ったら、奥さんの陽子さんが撮ったもの。

ウイスキーの味わい深さがこれでもかと書かれていて、好きな人なら思わず本を置いてウイスキーの瓶とグラスを取り出してくるだろうなと思う。

自分が下戸なのでちょっと悔しい。

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2006年5月20日 (土)

好きなもの:作家編

自己紹介代わりに、好きなものを脈絡なく挙げてみようかと。

まずは作家編です。

[日本の作家](以下敬称略)

芥川龍之介、あさのあつこ、有川浩、有栖川有栖、伊坂幸太郎、江戸川乱歩、小川洋子、小野不由美、梶井基次郎、川上弘美、北村薫、京極夏彦、クラフト・エヴィング商會、澁澤龍彦、島本理生、瀬尾まいこ、高村薫、中勘助、永江朗、長嶋有、長野まゆみ、梨木香歩、中村航、古川日出男、三浦しをん、宮部みゆき、村上春樹、よしもとばなな、米澤穂信

[海外の作家]

ポール・オースター、M.B.ゴフスタイン、ターシャ・テューダー、レイ・ブラッドベリ

こうして並べてみると、ばらばらなのに偏った趣味…。これからまだまだ増えたり減ったりするでしょう。

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2006年5月19日 (金)

東京奇譚集/村上春樹/新潮社

偶然の旅人

ハナレイ・ベイ

どこであれそれが見つかりそうな場所で

日々移動する腎臓のかたちをした石

品川猿

以上の5編所収。

個人的には一番目の「偶然の旅人」が好きです。

ちょっとポール・オースターの『トゥルー・ストーリーズ』を彷彿とさせるところがあって。

何はともあれいつもの春樹節が心地よい一冊でした。

この人の著作を読むと環境や精神がどんな状況にあれ、いつでもしんとした気持ちになるのは何故だろう。

だから癖になるのかな?

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